、あらかじめ暴落方向に賭けていた金融筋が 大儲けしたのでないか。
個人投資家を丸め込む、いつもの右肩上がりな「解説」が戻ってきている。
そんな中で、ぎょっとする内容のコメントを発したのがグリーンスパン元米連
銀議長だ。彼は英国のEU離脱投票後に米CNBCからコメントを求められ、以
下のように答えた「(世界経済は)私が連銀に入って以来の最悪の状態だ。
1987年のブラックマンデーの株の暴落を思い起こさせる」「(米欧全体で)
雇用が増えても生産性が伸びない(フルタイムを解雇してパートを増やしただけで
経済成長にならない)。世界的に、負債の急増、貧富格差の拡大、高齢化と年金
破綻の増加で、ますます大変になる」「米国の通貨供給が異様に増えている。い
ずれデフレから超インフレに突然転換する。不換紙幣の破綻は昔からいつも超イ
ンフレで、今回も同じだ。前向きなことを考えるなら、金本位制に戻るしかない」
「私だって明るいことを言いたいけどね(ないよ)」
中略
最も正確なはずの金融界の非公開の事前調査は、間違えた結果を出したのか。
いやむしろ、非公開の調査結果は、僅差で離脱派が勝つことを予測しながら、調
査を実施した金融筋は、市場の他の勢力や官邸、英政界などの関係エリート筋に、
調査結果と正反対の「残留派が僅差で勝つ」という間違った予測を流し、キャメ
ロンもファラージもユーガブも個人投資家もそれに流された結果、残留が勝つと
思ったら離脱が勝ち、市場が暴落し、あらかじめ暴落方向に賭けていた金融筋が
大儲けしたのでないか。
金融界の中でもジョージ・ソロスは大損したと指摘されている(これもウソか
もしれないが)。投機筋の全員がぼろ儲けしたわけではない。裏で何が起きてい
たか確かめようがないが、暴落や破綻をひどくして儲けようとする奴らが金融界
にいる可能性は高い。リーマン倒産は、米国の金融覇権を破壊した。英国のEU
離脱も、既存の米英覇権を壊す方向だ。暴落や破綻を意図的にひどくする勢力は、
自分たちの儲けだけでなく、覇権の多極化を画策しているようでもある。
田中宇氏「国際ニーユースから」抜粋しました。
コメント